ベトナム進出支援
ベトナム進出 会計・税務ガイド
ベトナムでのビジネス展開において、現地の会計・税務制度への理解と適切な対応は成功の鍵となります。本ガイドでは、ベトナムに進出される企業様が直面する会計・税務の実務について、基礎から実践まで包括的にご説明いたします。
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基礎知識
ベトナム会計基準の基本と会計期間
ベトナムにおける会計実務は、ベトナム会計基準(VAS:Vietnamese Accounting Standards)に基づいて行われます。VASは国際財務報告基準(IFRS)に準拠する形で整備されてきましたが、ベトナム独自の経済環境や法制度を反映した特有のルールも多く存在しています。このため、日本や国際基準との相違点をしっかりと把握することが重要です。
会計期間については、ベトナムでは暦年(1月1日から12月31日まで)を採用する企業が大多数を占めます。ただし、事業の特性や親会社の決算期に合わせて、異なる会計年度を設定することも法律上認められています。会計期間の変更には税務当局への事前申請と承認が必要となりますので、設立時から慎重に検討することをお勧めいたします。
ベトナムでは月次、四半期、年次と複数のタイミングで会計処理と報告義務が発生します。特に月次では付加価値税の申告、四半期では法人所得税の予定納税、そして年次では包括的な財務諸表の作成と提出が求められます。これらの業務を適切かつタイムリーに遂行するためには、日常的な記帳体制の整備と専門家によるサポートが不可欠となります。
会計期間
通常は暦年を採用。変更には事前承認が必要です。
報告頻度
月次・四半期・年次の多段階報告が義務付けられています。
付加価値税
付加価値税(VAT)の仕組みと申告
ベトナムの付加価値税(VAT:Value Added Tax)は、商品やサービスの販売に対して課される間接税です。標準税率は10%に設定されており、多くの取引がこの税率の対象となります。ただし、必需品や教育、医療などの一部のサービスには5%の軽減税率が適用され、輸出取引や特定の国際サービスには0%税率が適用されるなど、品目によって税率が異なる点に注意が必要です。
10%
標準税率
大部分の商品・サービスに適用される基本税率です
5%
軽減税率
必需品や教育・医療関連サービスが対象となります
0%
輸出税率
輸出取引や特定の国際サービスに適用されます
VAT申告は、原則として月次または四半期ごとに行う必要があります。年間売上高が500億ドン(約2億円相当)を超える企業は月次申告が義務付けられ、それ以下の企業は四半期申告を選択できます。申告期限は、月次申告の場合は翌月20日まで、四半期申告の場合は翌四半期初月の末日までとなっています。
ベトナムのVAT制度で特に重要なのがインボイス(紅色発票)制度です。VAT控除を受けるためには、適格なインボイスの保管が絶対条件となります。インボイスには法定記載事項が厳格に定められており、不備があると控除が認められないため、発行時・受領時ともに細心の注意が必要です。
控除可能な仕入税額のポイント
  • 事業活動に直接関連する支出であること
  • 適格なインボイスが適切に保管されていること
  • 支払いが銀行振込で行われていること(一定額以上)
  • 接待交際費など一部の費用は控除対象外
法人所得税(CIT)の概要と申告スケジュール
ベトナムにおける法人所得税(CIT:Corporate Income Tax)の標準税率は20%です。この税率は、ベトナム国内で事業活動を行うすべての企業に適用されます。ただし、ハイテク産業、ソフトウェア開発、再生可能エネルギー、または経済特区や工業団地での事業展開など、政府が奨励する特定の業種や地域で活動する企業には、優遇税率や減免措置が提供される場合があります。
1
第1四半期
3月31日までに前年度CITの暫定申告と納税
2
第2四半期
6月30日までに第1四半期分の予定納税
3
第3四半期
9月30日までに第2四半期分の予定納税
4
第4四半期
12月31日までに第3四半期分の予定納税
5
年次確定申告
翌年3月31日までに確定申告書を提出し、差額を精算
移転価格税制の重要性
ベトナムでは移転価格税制が厳格に運用されており、関連会社間取引については独立企業間価格の原則に基づく文書化が求められます。特に、年間取引額が一定規模を超える場合、詳細な移転価格文書(ローカルファイル・マスターファイル)の作成と提出が義務付けられています。税務当局による移転価格調査も増加傾向にあり、事前の準備と適切な対応が重要です。
損金算入の注意点
ベトナムの税法では、損金として認められる費用に制限があります。例えば、減価償却費は税法で定められた耐用年数と償却率に従う必要があり、接待交際費や寄付金には損金算入限度額が設定されています。また、関連会社への支払利息にも上限規制があり、過大な支払利息は損金不算入となる可能性があります。
個人課税
個人所得税(PIT)と源泉徴収の実務
ベトナムで就労する駐在員や現地採用スタッフには、個人所得税(PIT:Personal Income Tax)が課されます。ベトナムの税制では、年間183日以上滞在する個人は居住者として全世界所得に対して課税され、それ以下の滞在期間の個人は非居住者としてベトナム源泉所得のみに課税されます。この居住者・非居住者の区分は税率や控除の適用に大きく影響するため、正確な判定が重要です。
居住者の累進税率
居住者の給与所得には、5%から35%までの7段階の累進税率が適用されます。月額所得500万ドン以下の部分には5%、500万ドン超から1,000万ドンまでの部分には10%、というように所得が増えるにつれて税率が上昇します。最高税率の35%は、月額8,000万ドン(約40万円相当)を超える部分に適用されます。
非居住者の税率
非居住者の場合、給与所得には一律20%のフラット税率が適用されます。また、控除の適用は受けられないため、総支給額に対して課税されることになります。短期出張者や契約期間が短い専門家などが該当します。
01
月次源泉徴収
雇用主は従業員への給与支払時に、毎月個人所得税を源泉徴収し、翌月20日までに税務署に納付する義務があります。
02
年次確定申告
年末調整後、翌年3月末までに年次確定申告を行い、源泉徴収された税額と実際の税額との差額を精算します。
03
控除項目の適用
基礎控除(本人・扶養家族)、社会保険料、健康保険料、失業保険料などが所得から控除可能です。
04
近年、ベトナムでは個人所得税法の改正が頻繁に行われており、控除額の変更や新たな優遇措置の導入などが実施されています。最新の税率表や控除項目については、常に最新情報を確認し、適切に対応することが求められます。特に駐在員の場合、日本との租税条約の適用や外国税額控除など、国際税務の観点からも検討が必要となります。
月次税務申告から年次財政報告までの流れ
ベトナムでの会計・税務業務は、月次、四半期、年次と複数の報告サイクルで構成されています。それぞれの段階で異なる書類の作成と提出が求められ、期限を遵守することが極めて重要です。遅延や不備があると、罰金や追加調査の対象となる可能性があるため、計画的な業務管理が不可欠です。
日次・週次の記帳業務
すべての取引について、適格なインボイスとともに会計システムへの入力を行います。証憑管理と仕訳の正確性が後の申告業務の基盤となります。
月次税務申告
毎月、付加価値税(VAT)の申告と納税、個人所得税の源泉徴収税額の納付を行います。申告期限は翌月20日までです。月次試算表の作成も推奨されます。
四半期業務
法人所得税の予定納税申告を四半期ごとに実施します。また、四半期ごとの財務レビューを行い、業績の推移を確認します。
年次決算と財務諸表作成
会計年度末には、包括的な決算業務を実施し、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表一式を作成します。これらは税務署への提出だけでなく、株主や監査法人への報告にも使用されます。
年次税務申告と報告
翌年3月31日までに、法人所得税と個人所得税の年次確定申告を完了します。また、ベトナム財務省への年次財務報告書の提出も同時期に行われます。
日本親会社への連結対応
日本本社が上場企業や連結決算を行う場合、ベトナム子会社の財務情報を日本基準(J-GAAP)や国際基準(IFRS)に組み替える必要があります。これには、減価償却方法の調整、引当金の計上基準の違い、リース会計の適用など、多岐にわたる調整作業が含まれます。本社の決算スケジュールに合わせた早期のデータ提供が求められることも多いため、現地と本社の緊密な連携が重要です。
実務ポイント
  • 申告期限を厳守するためのリマインダー設定
  • 証憑書類の整理と電子データでのバックアップ
  • 為替レートの適用ルールの確認
  • 税務当局の最新通達や規則変更のモニタリング
  • 会計システムと税務申告システムの整合性確保
監査対応
法定監査の要件と監査対応のポイント
ベトナムでは、一定規模以上の企業に対して、独立した監査法人による法定監査(Statutory Audit)が義務付けられています。具体的には、総資産が200億ドン以上、年間売上高が500億ドン以上、または従業員数が200名以上のいずれかの基準を満たす企業が対象となります。また、外資100%企業や特定の業種については、規模に関わらず法定監査が必要となる場合があります。
監査準備の開始
監査は通常、決算日の数ヶ月後に実施されます。事前に監査法人との打ち合わせを行い、必要書類のリストアップと準備スケジュールを確認します。
資料の整備
総勘定元帳、補助元帳、銀行取引明細、在庫リスト、固定資産台帳、契約書、議事録など、監査に必要な全ての資料を体系的に整理します。
監査実施期間
監査人による現地往査が行われ、会計記録の検証、実地棚卸の立会い、経営者へのインタビューなどが実施されます。質問への迅速な回答が重要です。
指摘事項への対応
監査過程で発見された問題点については、修正仕訳の計上や追加説明資料の提供など、適切な対応を行います。
監査法人との効果的な連携
監査を円滑に進めるためには、監査法人との良好な関係構築が重要です。初回監査の場合は、会社の事業内容、会計方針、内部統制の仕組みなどを詳しく説明する時間を設けることをお勧めします。また、定期的なコミュニケーションを通じて、会計処理上の疑問点や新しい取引の会計処理について、監査人の見解を事前に確認することも有効です。これにより、期末の監査時に大きな修正や指摘を避けることができます。
監査報告書の活用
監査完了後に発行される監査報告書は、財務諸表の信頼性を証明する重要な文書です。無限定適正意見を取得することが理想的ですが、もし限定意見や否定的意見が付された場合は、その原因を特定し、翌年度に向けた改善計画を策定する必要があります。監査報告書は、銀行融資の申請や、取引先との信用評価の際にも提出を求められることがあります。
税務当局の調査対応とリスク管理
ベトナムでは、税務当局による税務調査(Tax Inspection)が定期的に実施されます。調査には、通常の定期調査、特定の税務項目に焦点を当てた専題調査、そして不正が疑われる場合の特別調査などの種類があります。調査の通知を受け取った場合、企業は指定された期日までに必要な書類を準備し、調査官の質問に対して適切に対応する必要があります。
調査通知の受領
税務当局から調査の通知が届きます。通知には調査の期間、対象となる税目、準備すべき資料などが記載されています。通常、実地調査の2週間前までに通知されます。
資料の準備と社内体制
要求された全ての帳簿、証憑書類、契約書、インボイス、銀行明細などを整理します。また、調査対応チームを編成し、税理士やコンサルタントとの連携体制を構築します。
実地調査の実施
調査官が会社を訪問し、帳簿の検証、経営者や経理担当者へのヒアリング、物理的な在庫確認などを行います。調査期間は通常5日から10日程度です。
調査結果と対応
調査終了後、指摘事項が記載された調査報告書が発行されます。追加納税や罰金が課される場合もあります。不服がある場合は、一定期間内に異議申し立てが可能です。
よくある指摘事項
  • インボイスの不備:適格インボイスの要件を満たしていない場合、VAT控除が否認されます
  • 移転価格:関連会社間取引の価格設定が独立企業間価格と乖離している場合
  • 損金不算入項目:接待交際費の過大計上や証拠書類の不足
  • 源泉徴収漏れ:外国企業への支払いに対する源泉税の未徴収
  • 個人所得税:駐在員への手当や現物給付の課税漏れ
トラブル回避のための予防策
  • 日常的な記帳と証憑管理の徹底
  • 税務リスクの定期的な自己診断
  • 税法改正情報の継続的なモニタリング
  • 税理士による定期的なレビューと助言
  • 社内での税務コンプライアンス教育の実施
  • 疑義がある取引については事前に税務当局に照会
税理士やコンサルタントは、調査対応において重要な役割を果たします。調査官との折衝、専門的な税務論点の説明、必要に応じた異議申し立ての支援など、企業単独では対応が難しい局面でサポートを提供します。特に、ベトナム語での正確なコミュニケーションや、複雑な税法解釈が必要な場合には、専門家の助けが不可欠です。
入国管理
ビザ・労働許可証取得支援サービス
ベトナムで就労する駐在員には、適切なビザと労働許可証(Work Permit)の取得が法律で義務付けられています。これらの手続きは複雑で、必要書類も多岐にわたるため、専門家のサポートを受けることで、スムーズな手続きと時間の節約が可能となります。手続きの遅延は事業開始の遅れにつながるため、計画的な準備が重要です。
01
招聘状の取得
ベトナム現地法人が、外国人従業員を招聘するための招聘状(Invitation Letter)を作成し、所轄官庁から承認を得ます。この書類がビザ申請の基礎となります。
02
ビザの申請
招聘状を基に、在外ベトナム大使館または領事館でビジネスビザ(DNビザ)を申請します。または、オンラインでビザ承認レター(Visa Approval Letter)を取得し、ベトナム到着時に空港でビザを取得する方法もあります。
03
労働許可証の申請
ベトナム入国後、労働傷病兵社会省(MOLISA)に労働許可証を申請します。申請には、無犯罪証明書、健康診断書、学歴証明書、職務経歴書など、多数の書類が必要です。
04
一時居住証の申請
労働許可証取得後、公安省(出入国管理局)に一時居住証(Temporary Residence Card)を申請します。これにより、ビザの頻繁な更新なしに長期滞在が可能になります。
05
家族の帯同手続き
駐在員の配偶者や子供が帯同する場合、扶養家族ビザ(Dependent Visa)の申請も必要です。家族の在留資格も適切に管理する必要があります。
必要書類の例
  • パスポートのコピー(有効期限6ヶ月以上)
  • 証明写真(規定サイズ)
  • 無犯罪証明書(本国政府発行、認証済み)
  • 健康診断書(ベトナム指定病院で実施)
  • 最終学歴の卒業証明書(認証済み)
  • 職務経歴書または推薦状
  • 雇用契約書
  • 会社の登記書類
代行サポートのメリット
  • 時間の節約:複雑な手続きを専門家に任せることで、本業に集中できます
  • 確実性の向上:書類の不備による却下や再申請のリスクを最小化します
  • 最新情報:頻繁に変更される規則や要件に精通した専門家がサポートします
  • 言語の壁の解消:ベトナム語での申請書類作成や当局との交渉を代行します
  • 緊急対応:ビザや許可証の更新期限が迫っている場合の迅速な対応が可能です
申請から取得までの標準的なスケジュールは、全体で2~3ヶ月程度を見込む必要があります。ただし、書類の準備状況や当局の審査状況によって前後することがあります。特に、本国での公証・認証手続きには時間がかかるため、早めの準備開始をお勧めいたします。
極小のコスト 極大の責任
ベトナムでの事業成功には、現地の複雑な会計・税務制度への対応が不可欠です。私たちEVEN A&Cは、ベトナム進出企業様の会計・税務・労務のあらゆる側面をサポートし、皆様のビジネスの成長をお手伝いいたします。日本語対応可能なスタッフが、親身になってご相談に応じます。
月次記帳・決算業務
日常の記帳から年次決算まで、正確で迅速な会計サービスを提供いたします。
税務申告・コンサルティング
各種税務申告の代行と、税務リスク管理のための戦略的アドバイスを行います。
監査対応・内部統制
法定監査への準備支援と、内部統制の構築・改善をサポートいたします。
ビザ・労務手続き
駐在員のビザ・労働許可証取得から、人事労務管理まで総合的にサポートします。

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